「ザ・ノース・フェイス」だけじゃない! ゴールドウインが自前ブランドを強化

ゴールドウインの2018年4〜6月期連結業績は、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)以下、ノース」が強力にけん引する形で、売上高が前年同期比19.7%増の148億円、営業利益が同2.3倍の11億円だった。同社は「ノース」の他に「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」「エレッセ(ELLESSE)」「ダンスキン(DANSKIN)」などの国内商標権を持ち、日本市場にマッチしたオリジナル企画商品が売り上げに直結しているが、ここにきてスキーを背景とするコーポレートブランドの「ゴールドウイン(GOLDWIN)」のテコ入れを本格化する。キーマンである新井元・執行役員兼「ゴールドウイン」事業部長に、目指すべき未来について聞いた。

ゴールドウインにとっての「ゴールドウイン」とは?

「シースリーフィット(C3FIT)」や「MXP」もあるが、「ゴールドウイン」は社名を冠した基幹ブランドだ。確かに「ノース」は好調だが、それらの商標権ビジネスとは明らかに違い、中途半端は許されない。僕は14年に「ゴールドウイン」の事業部長となったが、お家芸であるスキーだけでは生き残れないと考えている。

スキーウエアビジネスを取り巻く状況について教えてほしい。

スキーウエアは、映画「私をスキーに連れてって」が公開された1980年代後半、弊社とデサント、フェニックスの3社で1000億円を売り上げていた。それが今は100億円足らずだ。原因は、30年以上前のやり方を引きずっていたからであり、僕はまずこれを壊すことから始めた。

その一環が10年ぶりのロゴ変更?

そうだ。18年に刷新した。ただし昨今の流行のような、ロゴで主張する戦略は考えていない。むしろロゴの入っていないアイテムも多い。手前みそだが、「ゴールドウイン」は伝統としっかりとした機能軸を持っている。着心地でも負ける気がしない。しかしスキーウエアはこれまで非日常のスポーツシーンで着るもので、日常着ではなかった。

それをどう軌道修正した?

16年秋冬にライフスタイル・カテゴリーを新設して、本気のスキーギアからスキーテイストの大人のカジュアルウエアに思い切ってテイストを変えた。ありがたいことに「ゴールドウイン」にはファンも付いていたが、これにより顧客離れが進んだことも事実だ。誤解を恐れずに言えば、新生「ゴールドウイン」は、とにかく尖ったものを提案していきたい。その切っ先に“実は語るべきものがある”というのが理想だ。

スキー・カテゴリーとライフスタイル・カテゴリーの割合は?

スキーウエアはほぼ秋冬のみの展開だが、通年でスキー・カテゴリーが7、ライフスタイル・カテゴリーが3だ。申し上げたいのは、リブランディングがスキー・カテゴリーを否定するものではないということ。僕自身スキーヤーだし、「ゴールドウイン」を通じて“スキーは楽しい”を伝えていきたい。ここ20年でスポーツウエアは見違えるほどスタイリッシュになった。「ゴールドウイン」は、スキーが格好いいスポーツであることの力になりたい。スキーは生涯スポーツであり、ダイナミックな感覚を体験できる。

「ゴールドウイン」を最も売る店舗は?

ギンザ シックス(GINZA SIX)にある直営店のザ・ノース・フェイス アンリミテッドだ。「ゴールドウイン」の価格帯は「ノース」より一段高いが、機能とファッションのミックスを理解いただいた上で購入してもらっている。

直営店以外の販路は?

セレクトショップではビームス(BEAMS)やジャーナル スタンダード レリューム(JOURNAL STANDARD RELUME)などに卸売りしており、18-19年秋冬はビショップ(BSHOP)とダウンパーカを、シップス(SHIPS)とスーツにも合わせられる防水透湿のナイロン製フード付きコートを作るなどコラボレーションしている。

海外戦略も推し進めている。

今年、海外合同展示会の「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」「マン・パリ(MAN PARIS)」「マン・ニューヨーク(MAN NEW YORK)」にそれぞれ初出展した。

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