ゴールドウインの2018年4〜6月期連結業績は、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)以下、ノース」が強力にけん引する形で、売上高が前年同期比19.7%増の148億円、営業利益が同2.3倍の11億円だった。同社は「ノース」の他に「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」「エレッセ(ELLESSE)」「ダンスキン(DANSKIN)」などの国内商標権を持ち、日本市場にマッチしたオリジナル企画商品が売り上げに直結しているが、ここにきてスキーを背景とするコーポレートブランドの「ゴールドウイン(GOLDWIN)」のテコ入れを本格化する。キーマンである新井元・執行役員兼「ゴールドウイン」事業部長に、目指すべき未来について聞いた。
セレクトショップではビームス(BEAMS)やジャーナル スタンダード レリューム(JOURNAL STANDARD RELUME)などに卸売りしており、18-19年秋冬はビショップ(BSHOP)とダウンパーカを、シップス(SHIPS)とスーツにも合わせられる防水透湿のナイロン製フード付きコートを作るなどコラボレーションしている。
海外戦略も推し進めている。
今年、海外合同展示会の「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」「マン・パリ(MAN PARIS)」「マン・ニューヨーク(MAN NEW YORK)」にそれぞれ初出展した。
若者を中心に多くの支持を集めるバンド、Yogee New Waves(ヨギー・ニュー・ウェーブス)。2014年9月に1stアルバム「PARAISO(パライソ)」、17年5月に2ndアルバム「WAVES(ウェーブス)」、今年3月20日に3rdアルバム「BLUEHARELEM(ブルーハーレム)」を発表し、“島3部作”が完結。6月8日からは全国ツアーがスタートする。過去には「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」とコラボするなど、ファッション業界からも注目が集める彼らが「今、音楽で伝えたいこと」とは何か。
まったく考えていなかったです。前作「WAVES」を出して、次はもっといいものができるし、それが完成したら何かが終わりを告げるだろうとは感じていて、今作を作り終えてそれが確信に変わりました。Yogee New Wavesには青春だったりブルースや悲しみといった“青”というキーワードがずっとあったんですが、それに少し別れを告げられたかもという感じはしています。
今季最も気がかりだったのが、大企業プーチ(PUIG)の傘下に入って「ドリス」がどう変わったのか、ということ。プーチは2017年度に19億3500万ユーロ(約2554億円)を売り上げたスペインの企業で、多くのブランドのビューティ&フレグランスを手掛け、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」や「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」を擁する。大企業の傘下に入り資金力を得て活動の幅が広がる一方で、親会社の意向がクリエイションに強く影響することも多々あるだろう。しかし、今季の「ドリス」に限っては大きな方針変更は感じられず、ドリスのフィロソフィーに基づいたクリエイションが発表されたと感じた。しかし傘下に入ってまだ4カ月余り。今後このブランドがどう変化していくのか注視していきたい。
こうしたミレニアル世代を引き付けるための施策を行う一方で、主要なラグジュアリーブランドに長年の業界ルールを破って出店してもらうために苦労した面もあるという。例えば、シャンゼリゼ通り店にはケリング(KERING)が擁する「グッチ(GUCCI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」が入っているが、そのライバルであるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「フェンディ(FENDI)」や「ロエベ(LOEWE)」も出店している。また、「ルイ・ヴィトン」はシャンゼリゼ通りに旗艦店を構えている。ハウズCEOは、「当然だが、ブランドと戦うことが目的ではない。彼らの協力を得ながら、従来とは異なる百貨店を作りたかった。最初は多少の抵抗もあったが、シャンゼリゼ通り店のコンセプトをじっくりと話し合うことで、既存のオスマン通り店などと競合することはないと理解を得られた」と述べた。